プロジェクトの歴史と今後


本事業は、障害者スポーツの実施に向けた教員に対する研修の実施(教員の障害者スポーツ指導員資格の取得促進のための取組を含む。)を含むものである。

 われわれは、地域における通常の小中高等学校の体育現場において、障害者スポーツ指導の基本である「アダプテッド体育・スポーツ(以降、アダプテッド)」の視点が定着することを最終目標とし、2030年に、地域の通常の小中高等学校の少なくても体育授業を担当している教員のうち、9割が障害のある子どもを受け持つことに対して抵抗感を感じず、8割が障害のある子どもに指導することに不安を感じないで、7割が「アダプテッド」の用語を聞いたことがあるなかで、6割が、アダプテッドの視点をもって指導できるという数値目標をたてた。


第1期(2019年度−2021年度)
 上記の目標を達成するために、第1期の3年間で、アダプテッドを教員に定着するための定着研修会プロトタイプをもとにした多様な研修タイプの効果の一様の効果を明らかにするとともに、その研修を通して、日常的にアダプテッドを実践するためのガイドブック内容の選定およびHPの構築を成し遂げた。

◯2019年

アダプテッドの視点を定着するうえで必要とされるカリキュラムにおけるプロトタイプを試案し、そのカリキュラムを使った研修会すなわち定着研修会の効果検証を行ないました。そこでは、一定程度の効果を確認することができました。

◯2020年

2019年度で効果が確認されたカリキュラムのプロトタイプの検証と、試験用に作成された模擬ガイドブックを使って、質問紙調査を行い、効果的なガイドブックのあり方を明らかにしたいと考えました。そして「アダプテッド」の周知に関しては、現場志向型のコンテンツ構造をもったHPの構築の試用を行うことを優先的な具体的課題として設定致しました。

◯2021年

プロトタイプをもとに様々な研修スタイルにおいても同様の効果を得られるかどうかを検証することを主な目標に設定しました。また昨年度のガイドブックの検証をもとに、現場で効果的に使用できるガイドブックを広く公刊するため、内容の検討発行にむけた準備を行いました。また昨年度構築したHPをプラットフォームに現場においてアダプテッドを身近に感じ実践できるためのコンテンツを構造化し、それを恒常的に展開するための実施方法についての検討を行いました。

 
<今後>第2期
(2022年4月-2025年3月)

 この期間で全国大都市に該当する20都市(総務省,2010)で年間1回以上の定着研修会を実施することを目標とする。そのうえで2022年度は、検討課題1として、全国を6ブロックの地域に分け、地域の小学校教員を主な対象に定着研修会を年に1回実施し、地域条件における実施上の問題と課題を明らかにする。そして検討課題2として、教材コンテンツWGを設置し、これまで実働してきたガイドブックWGと広報WGを統合し、学校教育現場でアダプテッドを日常的に実践できるための教材コンテンツ(ガイドブックの公刊、HPコンテンツの構築など)の企画および開発を行い、これらが実際に現場で活用できているのかを検証する。そして実行委員会を設置し、本事業を効果的に展開するために、WGに諮問し、進捗状況を把握し検討するとともに、最終目標の達成に向けた将来構想(資格制度、研修会や教材コンテンツの管理、およびHPの運営などを行う組織のあり方、教員養成課程におけるカリキュラム提案等)におけるアジェンダを示す。

これらの事業を通して、全国の教員の多くが障害者スポーツ指導に関心を持ち、障害者スポーツを指導できる教員が増えることが期待できる。